:: 番外編 - サマンオサ王国
ここは、モンスターの国 ?!
再びエジンベアへ…
ゾーマが倒れ、世界はひとまず静かになる。でもべつに静かになっただけで、平和になったわけじゃなかった。
ゾーマとの争いが終わると、みんな "いいわけ合い" が始まる。それは人間の国でも、モンスターの国でもまったく同じだった。
アレルたちは各地の報告を終え、久しぶりにロマリアを経由して北へ向かった。
向かった先は、エジンベア。
そこにそびえたつ首都らしき城は相変わらず "要塞" みたいで、エジンベア王は変わらず他国の異変を "軍事的な脅威の問題" として見ていた。
アレル「あれからもう何年経ったのでしょうか、今さら私をお呼びの理由は何でしょうか…」
エジンベア王「わが国には人陰のような関係国があっての、その国をサマンオサと呼ぶ。その国ようすがおかしいのだ…」
アレル「それでどうしろというのでしょう… ?」
エジンベア王「サマンオサ王が、姿を見せない。"あの鏡" を拒み、サマンオサの民の前に出てこない」
数分後。
エジンベア王「"調べて" ほしい… そなたは元勇者である… もういちど "勇者" として…」
アレルは、少しだけ考えて、首を振った。
アレル「今回は、私は行きません…」
アレル「おじじも、マゴもスラりんも、もしここに居たとしても。もう "断る理由" が解る年齢になってる。それに、謎の男さんだって、いつもどおり何も言わないと思うよ」
アレル「ゾーマの争い… ? が終わっても、私自身が各国の内情にまで、勇者として背負うものでもないですよ… おおさま。」
アレルは、同行していた、あのロマリアの近衛兵に視線を向けた。
アレル「代わりに、このかたを紹介します。」
彼は… あのカンダタだった。
カンダタとはロマリア出身の近衛兵。アレルたちの旅路の "少し後ろ" (前 ?! ^ ^;;) を、ずーっと歩いていた人。
あの城でも、あの塔でも、あの洞窟でも、あの誘拐事件でも、あの地下世界でも、彼はなぜか必ずアレルたちの先回りして問題を解消していた人… ^ ^;
もうアレルも大人であって、彼の正体はもう知っている。彼からも、あの王からも聞いている。
だけど、ここで "過去の演技" については触れない。それが互いの約束だった。
エジンベア王は渋い顔をしたが、こくりこくりと、うなずいた。
エジンベア王「よかろう。王同士の問題は、王同士で解決する。まあ、私の部下に任せよう。」
エジンベア王「ただ……」
サマンオサ行きは、勇者ではなく、ひとりの近衛兵へ引き継がれた。
カンダタはアレルに相談する。
カンダタ「アレル、同行者を借りたい…」
アレル「いいよ、でもあまり危険なめにあわせない約束ですよ !」
スラりん「ぴっ ? ぴっ ぴーーー !」
こうして、近衛兵 (= カンダタ) とスライム (= スラりん) の奇妙な旅が始まる… ^ ^;;
エジンベアと対照的な国…
サマンオサ城は、外から見るかぎり、なにもかわったところはない。
兵もいる。旗もある。民も働いている。
ただ… 王がいない。
王座に座っているのは、"王の姿" をしている、なにか。
スラりんが小さく震える。
カンダタは、ラーの鏡を取り出した。
映ったのは、王ではなく、痩せ細ったモンスターの姿だった。
ボストロールのような巨体でもなく、ドラゴンのような威圧でもない…
人間に似ていて、人間からはみ出した中途半端みたいな姿だった。
サマンオサはもともとバラモスやゾーマとはまったく無関係だった。強い者に寄りかかって国の形を保っていただけ。
ゾーマの戦争が終わり、どちらの魔王もいなくなり "守られていた歪み" (魔王たちのオーラなど) だけがはがれた国。
おう、さま… ?
王(モンスター)「この国では、我が言葉が法である !」
スラりん「ぴ… ?」
王「……賛成か ?」
スラりん「ぴぴぴ ?!」(ただのジャンプ ^ ^;)
側近「王よっ 今のは民意ですぞ !」
王「よし ! では増税だ !」
スラりん「ぴ ?」(意味はない ^ ^;)
王「むっ?! ならこれも賛成だ !」
王「おお……なんか "王っぽい !"」
側近 ?!「ちゃんと儀式やってる……」
周りの人々 ?!「リユウはわからんが、あれが文明というヤツか……」
気づけば、玉座にスラりんがいる。本人はただそこで跳ねているだけ。命令もしてない。
だが周りが… そのスラりんを勝手に解釈して勝手に王に仕立て上げてる。
城は今日もにぎやかだ。にぎやかというか… 正直いって、うるさい (爆)
王「もしゃす !」
側近「もしょす !」
周りの人々「もっしゃぁす !!」
誰かがどこかで見た "人間の城" を、ここで… フルパワーで "もしゃす" した結果だ ^ ^;
その日の夜… 城の外でカンダタは空を見ている。
カンダタ「…… 王ってのは、役をやるだけでも国になるんだな……」
城の中から聞こえてくる…
城の中から…「もしゃす !」「もしょす !」「もっしゃぁす !!」
足元で、スラりんが飛んでる。
スラりん「ぴっ ぴっ !」
たぶん… この国は戦争より先に、このノリ (調子) で滅びる………
不思議なことに、この国に悪意がなかった。意味より形。理由よりノリ (調子 ^ ^;) ただ、それだけの国でした ^ ^;;
しばらくのち、城門に新しい看板が立つ。
『サマンオサ、国是:もしゃす、国歌:もしょす !』
誰が決めたかは分からない。たぶん全員 (笑)
しばらくした未来… スラりんだけは、この国との直接行ったり来たりができる "旅の扉" を、ある人物 (謎) に用意してもらってた。
サマンオサは今日も平和だ。いや、平和というか… 相変わらず意味不明だった ^ ^;
真ん中の、噴水がある広場で、とある… 市民(モンスター)が… スラりんを見つめている……
市民A「…… も… もしょす ?」
スラりん「ぴ ?」
市民B「もじょ…… もしょす……」
スラりん「ぴっき~ !」
市民C「もしゃ…… もしゃもしゃ…… !」
スラリン「ピキー !」
どうやら市民のモシャス ?! はすべて失敗した。
スラりんは "変身しない"
その形を変えずに存在している。サマンオサの市民(モンスター)たちは "何かを真似るときは、形から入る文化" なので、ここで思考が止まってしまう。
市民A「できない……」
市民B「もじゃすできない……」
市民C「も、もしょ…… もじょ………」
そこへ周囲の市民(モンスター)たちがどんどん集まってくる…
「おい、どうした ?」「もしゃす失敗 ?」「もっしゃぁ…… ?!?」
そのとき、城の方からあのサマンオサ王が姿を見せる。
今日のサマンオサ王は、かなり人間寄りの姿をしている。細身で、無駄にまで落ち着いた歩き ^ ^;
いつものよりも "それっぽい" (爆)
サマンオサ王「ん…… どーした ?」
サマンオサ王が、スラりんの前にしゃがみこむ。
サマンオサ王「おまえをマネようとして… うちの市民がバグっているらしい………」
サマンオサ王は、スラりんにそっと触れる。
ぷにぃ…
その瞬間、王の姿が一瞬だけブレた。
人間の形を保ったままの姿に、どこかスライムっぽい柔らかさが混じってくる。
王「?? …… あ…… !」
王は自分の手を見て、なぜか動揺する。
王「もしゃす…… は、できないな…」
スラりんは変身しない。だから "もしゃす対象" としては機能しない魔法なのだ。
マネられない存在に触れた結果、王の人間のふりをするモシャス ?! という名の魔法の精度が逆に上がってしまう。
周囲のモンスターたちがざわつく。
市民「王が…… 人間っぽくなった」「もしゃす、上達した ?」「もじょもしょす…… !?!」
王は立ち上がり、少し照れくさそうに咳払いをした。
サマンオサ王「…… どうやら、変身できない相手に触れると、逆に "役" が安定するらしい」
これをこの国は誰も理解していない。だけど、見た目などからその空気だけがふんわりと伝わっていく。
市民たち「わぁ…… !」「すげぇ……」「もしゃすもしゃす… !!」
スラりんは、嬉しそうに何回も地面からぴょんぴょこと跳ねる。
それを見てた市民たちがまた挑戦してみる。
市民たち「もじょ…… もしょ……」
やはり失敗。
市民たち「できない…… !」「無理だ」「もしゃす文化の限界だ……」
この時は、サマンオサのもしゃす文化やサマンオサ歴史上で初めて "マネできない存在 (しかもモンスター同士 !)" が現れた時であった。
その夜。王はひとりで、王座の前でこう呟いた。
サマンオサ王「…… おかしいな… スラりんに触れてから人間のふりが楽になった」
スラりんは、ただそこを見てるだけ…
サマンオサ王は… 今日も適当に国の中をまわる。もしゃすは続く。
この国は初めて "真似できないもの" を知った。それは、この国にとって最大のバグであり、ちょっとした進化のきっかけになった。
誰が "決めた" かは分からない。たぶん全員が決めた (笑)
お し ま い !

