:: 番外編 - ラーミアの旅

ラーミアの記憶


今から 7,000年ほど前…

まだいちばん近い氷河期を抜けつつあるときだった。
はるか彼方から、意識体 (まぼろし) がこの星にたどり着く。空が澄みきるまえに、降り立った "ラーミア" だ。

"ラーミア" は、物理のルールを超えた存在… それは、"量子" のカタマリとして、彼女という姿を構成していた。それは、星の自転と磁場にそって何度か周回し、やがて惑星全体を覆う。
彼女は生命がほとんどない南極を選ぶ。そこでひそかに待機して静かに羽を広げる。世界のリズムを壊さないように…

そして、その彼女の中にある… "地上の風" や "緩やかな振動" そして "地下に眠る栄養" を再び解き放った。
この時は世界樹はまだ小さな存在。大きな "種" から世界各地へ世界樹の根っこが広がっていく… "ラーミア" は決して星に干渉はしない。ただ世界のバランスが保たれるように、そっと広がるだけ。


いつだったか、塔にオルテガがやってきた

ずいぶん時が経った。その長い道のりでは何度も訪問者がやってきた。
オルテガもそのひとりで、しかし、彼はここに来る前にすでに "ラーミア" に触れていた… 彼はそんな人生を歩んでいた。

そんな彼は…

足もとでは湿った土に響く踏む音、持っている剣の重みの緊張の中、彼は "内側" を進んでいく。
その歩みは、閉じた中で完結するはずだった。しかし、かすかな波長が彼の身体にも、そして地上世界にも、そう、全体に広がるのを感じている。
例えると、空ではラーミアが羽を広げて波長を地表に送り続けている。その波長が地下の凍った栄養を温めて世界樹として息を吹き返していく。オルテガは無意識に両方をは肌で感じていた。
足もとの土、わずかな揺れを感じながら…

「…… これは…」

心の奥にたたかう心とは別な異なるリズムが響いていた。恐怖でもうれしいものでもない、世界というか星の呼吸に溶け込む感覚…


遺伝するラーミア

何年かあとの、アレルたち。彼女たちはラーミアがいる塔に行ってない。
でも、アレルに受け継がれていた。オルテガが地下世界や塔で体験したこと。このことは、ラーミアと触れたまぼろしを受け継いだアレルたちにもひそかに眠っていた。

「…… なんだか落ち着かない…」

言わなくても感じている。たたかいなどのリズムではく、オルテガの意識を通して、自分たちのなかにあった、ラーミアの遺伝。
わずかかに光る感覚。それに合わせて身体が静かに同期するような ?
地下世界の "栄養" や、世界樹の存在に直接触れていなくても、自分たちの内側で成長が進んでいる感覚がそこにはしっかりとあった。

「私たち…… の中にいるの ??」

小さくつぶやく、この内側に向けての声に… 仲間もうなずく。
塔をのぼったり、たたかったりしなくても、ラーミアは自分たちの内側で生きていた。
そして "ラーミア" という彼女の干渉でも操りでもなくただ内側にあるだけであって、星の循環にひそかに参加してたこと。
ラーミアという名のまぼろしは、オルテガはもちろん、アレルたちからもまた次の循環へ向かっていく。この宇宙全体の旅のなかで、個人としては参加していなくても個性としては生き続けている。


蒸発と宇宙へ巡回

空をおおっていた淡い羽が、ゆっくりと光を帯びていき…
アレルたちの胸の奥にある、星の呼吸を感じ取るリズムが、やがて… 地上も地下も…

「終わり…… じゃないんだ。」

このまぼろしとしての、私 "ラーミア" は、こうやって少しずつ蒸発していき、物理的な存在は少しずつ捨てていく。少しずつ減ってやがて光の名残りとなり、そしてすべて宇宙の彼方へと還っていく。
それは、別の星でまた集合するために。

オルテガが塔で触れてアレルに潜在的に遺伝したもの。
世界各地にあったロマリアやエジンベア、アリアハンなどの王家などが、古代から守護像や守護星を通して受けていた "ラーミア" という名のまぼろし。
それらのすべて、私たちの心の一部として宇宙のリズムに組み込まれている。
地上の世界樹もアレルたちと同じように成長を続けて、地下世界の栄養は活性化され、アレルたちはそれに気づかないまま内側と外側のリズムに共通しながら星というか宇宙の循環に参加している。
塔や城、たたかいや英雄とよばれる人たちの行動よりも "ラーミア" という名のまぼろしが静かに確実に生き続けていた。

"光の民" とは宇宙の果てまで漂い、また別の星の命や次の可能性へと、リズムに乗って広げていく。

オルテガやアレルはもちろん、個人としての存在は消えても個性というリズムは途切れずに、宇宙へのリズムは永遠で個性もそれにに乗ってる。

いつか再び… 誰かの内側に残り続けて、またそれが自身以外の新しい物語りの prologue へつながっていくのかな… ?


お し ま い !

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