:: オルテガの冒険

3人目の仲間


イカ ^ ^; を討伐して数日後

オルテガとカトリーヌは、北の山道を抜けて帰還の途についていた。
途中、道沿いの修道院で一夜の宿を借りた。

祈りの鐘が鳴り響くなか、ふたりの前に現れたのは。ひとりの女だった。

白と薄紫をまとった修道服、整った口元と、どこか突き放すような冷ややかな目。そして、その瞳の奥にある、深い疲れと何かを隠す強さ。

「…… あなた方が、アリアハンの戦士たち ?」
「わしらはそうじゃが…… おぬしは ?」
「僧侶です。旅の者。… でも、もうすぐここを出ます」

その女僧侶は、自らの名を名乗らなかった。
その夜、ふたりは彼女とともに食卓を囲んだ。

「魔物の被害が広がっている。私ももう、祈っているだけではいられないと思って」
「祈りも剣も、どちらも必要じゃよ」

カトリーヌが笑うと、女僧侶は小さく微笑んだ。オルテガは、黙って彼女を見ていた。
どこか、自分と似ていると、感じていた。

過去を語らない。名も明かさない。それでも、前に進もうとする強さ。
その姿に、彼は少しだけ目を細めた。

翌朝、修道院の門を出たとき、彼女は、ふたりの前に立って言った。

「…… 私も、ついていってもいい ?」

オルテガはすぐに答えなかった。
カトリーヌが彼を見た。
彼は、わずかにうなずいた。

「わしらには剣も "魔法" もある。けど、"足りないもの" がある。おまえが "それ" を埋めてくれるなら…… 来い。」

彼女は目を伏せて、そして歩き出した。

こうして、旅は 3人になった。
それぞれが、過去に何かを置いてきた者たち。だが、まだ互いにそれを語ることはなかった。
この先のどこかで、それが音を立てて崩れ始めるとも知らずに……


はじまりの山

春まだ浅いある朝。

3人はアリアハンの北 "ケルザの山道" と呼ばれる険しい峠にいた。

王からの新たな指令だった。

「北の山脈に潜むモンスターどもの拠点を突き止めよ。この国の未来のため。それが、そなたたちの "初任務" となる」

冷たい風が吹くなか、カトリーヌは先頭を歩いていた。その動きに一切の迷いはなく、道なき岩場も軽やかに駆け抜けていく。
後ろを歩く女僧侶は、足元を確かめつつも疲れたようすはない。背負った杖が、静かに揺れていた。

オルテガは最後尾で、仲間ふたりの足取りを観察していた。ふと、岩の陰に気配を感じて、立ち止まった。

「…… 来るぞ !」

直後、土を裂くように現れたのは、地を這うモンスター "ダークワーム" (想像にお任せします ^ ^;) だった。


初の 3人連携

オルテガが斬りかかり、カトリーヌが地を蹴って空を舞い、女僧侶が静かに詠唱を口にした。

「…… 風よ、守れ ! (フバーハ ? ^ ^;)」

透明な壁がオルテガの周囲を包む。

「助かる」
「言葉は要らない」

交わされたのはそれだけだった。

オルテガの剣がモンスターを引きつけ、カトリーヌの蹴りが横腹に当たる。女僧侶の回復が継戦能力を保つ。

見事な連携。

だが、それ以上に不思議な一体感があった。

それは不思議な連携だった。けれど、3人はまだ知らなかった。この関係が、のちにどう歪み始めるのかを…


その日の夜…

3人は星の下で眠った。誰も夢の話はしなかった。

だがそのとき、オルテガの胸の奥で、なにかが静かに目覚め始めていた。

("ちから" では届かないものがある…)

そのことを、彼は少しずつ理解し始めていた。

火を囲む三人。
ふいに、女僧侶がぽつりと語る。

「…… 私は、本当はこういう場に向いていないのかもしれない」
まぁ、わしも最初は震えとったわい。けど歩きながら慣れるもんじゃ。
「…… 逃げたくなかったの。祈るだけでは、もう…… 誰も救えないと思ったから」

オルテガは、火を見つめたまま答えた。

「なら、それでいい。剣を振るうだけが、戦いじゃない」

彼女は少しだけ微笑んだ。


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