:: オルテガの冒険
余談、ゾーマのお城。
地下へ。
地下世界。そこは、太陽や風に色はなかった。魂だけが響き合い、過去の影が歩く場所。その深奥に、ゾーマはいた。王座に座り、すべてを知る者のように沈黙していた。
対話
「俺はお前を倒しに来たわけじゃない」
「……」
「壊すためじゃなく、確かめるために来た」
「…… 何が望みだ ?」
「世界は、なぜこんなにも忘れてしまうんだ ?」
ゾーマは静かに目を開けた。
「それはお前が、忘れることを選んだからだ。過去の痛みを、悲しみを、愛を、すべて、強さの裏に沈めた」
「そうかもしれない。でも… 俺は、今、それを取り戻しに来た」
オルテガは剣を抜かない。
ゾーマも立たない。
ふたりの間には、ただひとつの問いがあった。
「世界は、壊すことでしか繋がらないのか」
「それとも、忘れても、また誰かと生き直せるのか」
ゾーマは答えなかった。
だが、何もせず、世界樹の雫とともに彼を帰した。
オルテガは地上に戻り、二度と剣も魔法も持たないと決心した。
その魂の場所
その魂はしっかりと受け継がれていた。
けれど、誰もあの村に暮らしていた、あの少年の名を口にする者はいなかった。
村の誰ひとりとして、その名を思い出せず、あるいは忘れることを選んだのかもしれなかった。
彼の見た目にも気づかずに。
お し ま い !